出産祝いを贈るとき、意外と悩むのが「のし(熨斗)」の書き方です。水引の種類は?表書きには何と書けばいい?名前はフルネーム?連名のときは?こうした疑問をまとめて解消できるよう、出産祝いののしに関する正しいマナーを詳しく解説します。
のしの書き方ひとつで印象が大きく変わるため、お祝いの気持ちをしっかり届けるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

出産祝いの「のし紙」とは?基本を知ろう
のし紙とは、贈り物に掛ける装飾紙のことです。もともとは「熨斗鮑(のしあわび)」という干したアワビを贈り物に添えたのが始まりで、現在では印刷されたのし紙が一般的に使われています。
のし紙は主に「のし(右上の飾り)」「水引(中央の紐)」「表書き(上段の文字)」「名入れ(下段の名前)」の4つの要素で構成されています。それぞれに意味やルールがあるため、順番に見ていきましょう。
なお、のし紙の歴史は古く、室町時代にまで遡るとされています。もともとはアワビを薄く伸ばしたものを贈り物に添えていたのが形式化し、現在の紙に印刷されたスタイルになりました。贈り物を丁寧に包むという日本の文化が、現代まで受け継がれているのです。
出産祝いにふさわしい水引の選び方
蝶結び(花結び)を選ぶ
出産祝いの水引は、紅白の「蝶結び(花結び)」を使います。蝶結びは結び直せることから、「何度あっても喜ばしいお祝い事」に使われます。出産は人生で何度あってもおめでたいことなので、蝶結びがふさわしいのです。
結び切りは使わない
結び切りやあわじ結びは「一度きりであってほしいお祝い」に使うもので、主に結婚祝いや快気祝いに用います。出産祝いに結び切りを使うと「もう出産しないように」という意味になりかねないため、避けてください。これは非常に多い間違いのひとつで、出産祝い用のご祝儀袋をわざわざ購入する際にも気をつけるべきポイントです。
「出産祝い用」と明記された商品を選べば、水引の種類で迷うことはありません。
水引の本数
出産祝いの水引は5本が基本です。10本の水引は結婚祝い専用で、7本は一般的なお祝い事にも使われますが、出産祝いでは5本を選ぶのが一般的です。
- 出産祝い → 紅白・蝶結び・5本
- 結婚祝い → 紅白(または金銀)・結び切り・10本
- 快気祝い → 紅白・結び切り・5本
- 入学祝い → 紅白・蝶結び・5本

表書きの書き方
出産祝いの表書きに使う言葉
表書きは水引の上段(中央)に書きます。出産祝いでは以下のような表記が一般的です。
- 「御祝」 → 最もシンプルで幅広いお祝いに使える万能な表記
- 「御出産御祝」 → 出産祝いであることが明確に伝わり、最も一般的
- 「御安産御祝」 → 安産を祝う気持ちを込めた表現で丁寧な印象
- 「お祝い」 → ひらがなで柔らかい印象にしたい場合に使える
なお、「祝御出産」のように4文字になる表記は、「死」を連想させるとして避ける考え方があります。3文字または5文字にするのが無難です。また、表書きの文字は水引に重ならないように、バランスよく書くのがきれいに見えるコツです。
筆記具について
表書きは筆ペンまたは毛筆で書くのが正式なマナーです。インクの色は濃い黒を使います。薄墨は弔事(お悔やみ)用なので、お祝いの場面では使いません。ボールペンやサインペンは略式とみなされるため、できるだけ避けましょう。
最近は筆ペンが苦手という方も多いですが、練習用の紙で何度か書いてみてからのし紙に書くと失敗しにくいです。どうしても自信がない場合は、ギフトショップで代筆を依頼するという方法もあります。
慶弔両用の筆ペンなら、濃墨と薄墨が1本にまとまっているので、急な慶事・弔事のどちらにも対応できます。
名入れ(名前)の書き方
個人で贈る場合
水引の下段中央に、贈り主の姓名をフルネームで記載します。表書きよりもやや小さめの文字でバランスよく書きましょう。姓のみでも失礼にはなりませんが、フルネームのほうが丁寧です。
夫婦連名で贈る場合
夫婦連名の場合は、中央に夫のフルネームを書き、その左側に妻の名前(名のみ)を書くのが一般的です。最近は妻のフルネームも併記するスタイルもあり、柔軟に対応して問題ありません。
複数人の連名で贈る場合
3名までの連名であれば、右から目上の方の名前を順に書きます。全員の立場が同じ場合は五十音順にするとよいでしょう。4名以上の場合は代表者のフルネームを中央に書き、左側に「外一同」と添え、別紙に全員の名前を記載して中袋に入れます。
会社名を入れる場合
職場から贈る場合は、中央よりやや右に会社名(部署名)、中央に「○○一同」と記載します。個人名は入れず、部署やチーム名にとどめるのが一般的です。人数が多い場合は「○○部有志一同」という表記にすることもあります。

内のしと外のし、どちらを使う?
のし紙には「内のし」と「外のし」の2つの掛け方があります。どちらを選ぶかで相手に与える印象が変わるため、シーンに合わせて使い分けましょう。
内のし
品物にのし紙を掛け、その上から包装紙で包む方法です。控えめな印象を与えるため、郵送で贈る場合やお返し(内祝い)でよく使われます。配送中にのし紙が汚れたり破れたりするのを防ぐメリットもあります。
外のし
包装紙の上からのし紙を掛ける方法です。お祝いの目的がひと目でわかるため、直接手渡しする場合に適しています。お渡しするときに表書きが見えるので、お祝いの気持ちがストレートに伝わります。
- 郵送する場合 → 内のしがおすすめ
- 直接渡す場合 → 外のしがおすすめ
- お返し(内祝い)の場合 → 内のしが一般的
- どちらでも失礼にはならないため、迷ったら内のしを選べばOK
自分で品物にのしを掛けたいときは、蝶結びが印刷された市販ののし紙が使えます。
出産祝いののしでよくある間違い
- 結び切りの水引を使ってしまう:「もう出産しないように」という意味になるため、必ず蝶結びを選ぶ
- 表書きを4文字にしてしまう:「祝御出産」は避け、「御出産御祝」や「御祝」にする
- 薄墨で書いてしまう:薄墨は弔事用。お祝いは濃い黒で書く
- 赤ちゃんの名前を書いてしまう:贈り主側ののし紙には自分の名前を書く(赤ちゃんの名前を書くのはお返しの「内祝い」のとき)
- 10本の水引を使ってしまう:10本は結婚祝い用。出産祝いは5本が基本
- のし紙を裏返しに掛けてしまう:慶事は右前(右側が上)に重ねるのが正解。左前は弔事用

のし紙が不要なケース
カジュアルなお祝いの場合は、のし紙を省略しても問題ありません。親しい友人同士でのお祝いであれば、リボンラッピングやメッセージカードで贈ることも一般的になっています。
ただし、目上の方への贈り物や、フォーマルな場面ではのし紙を掛けるのがマナーです。迷った場合はのし紙を掛けておいたほうが無難でしょう。
また、海外ブランドの製品などで包装がすでに完成している場合は、のし紙を掛けずにメッセージカードを添えるだけでも気持ちは十分伝わります。
出産祝いののしに関するQ&A
Q. のし紙は自分で書く?それともお店に頼む?
百貨店やギフトショップで購入した場合は、お店でのし紙を掛けてもらえるサービスが一般的です。表書きや名入れも代行してくれることが多いので、購入時に相談してみましょう。自分で書く場合は、筆ペンを使って丁寧に書くことが大切です。
Q. オンラインショップで購入した場合は?
多くのオンラインショップでものし紙サービスを提供しています。注文時に「のし紙あり」を選択し、表書きや名入れを指定できるケースがほとんどです。サービスの有無は事前に確認しておくとよいでしょう。
Q. のし紙とご祝儀袋は別物?
はい、別物です。のし紙は品物に掛けるもので、ご祝儀袋は現金を入れるものです。品物を贈る場合はのし紙を使い、現金を贈る場合はご祝儀袋を使います。ただし、水引の種類(蝶結び・5本)は共通です。
Q. 二人目の出産祝いにものし紙は必要?
二人目以降の出産祝いにも、一人目と同様にのし紙を掛けるのが丁寧です。のし紙の書き方やルールは一人目と全く同じで、特に変更する必要はありません。
Q. お返し(内祝い)ののし紙はどう書く?
出産内祝い(お返し)ののし紙は、表書きを「内祝」とし、名入れには赤ちゃんの名前(読みがなつき)を書きます。贈り主の名前ではなく赤ちゃんの名前を書く点が、出産祝いののし紙との大きな違いです。
まとめ
出産祝いののしは、「紅白・蝶結び・5本」の水引を選び、表書きは「御祝」「御出産御祝」が定番です。名前は贈り主のフルネームを濃い黒の筆ペンで書き、連名の場合は右から目上の方の名前を記載します。
のし紙の掛け方は、郵送なら内のし、手渡しなら外のしがおすすめです。結び切りの水引や薄墨は弔事用なので間違えないよう注意してください。
正しいのしのマナーを身につけて、お祝いの気持ちをきちんと届けましょう。
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