お歳暮は、一年間お世話になった方へ感謝の気持ちを伝える日本の大切な習慣です。しかし、のしの書き方や贈る時期、送り方など、意外と知らないマナーが多いのも事実です。「のしの種類は?」「内のしと外のしの違いは?」「お返しは必要?」など、細かな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お歳暮に関する基本マナーを網羅的に解説します。初めてお歳暮を贈る方から、改めてマナーを確認したい方まで、安心して贈れるようしっかり押さえていきましょう。

お歳暮とは?そもそもの意味と由来
お歳暮は、一年間お世話になった方への感謝を込めて年末に贈る品物のことです。「歳暮」とは文字通り「年の暮れ」を意味し、もともとは年末に先祖の霊を供養するための品物を親元に届ける習慣が由来とされています。江戸時代には商人がお得意先に挨拶回りをする風習が広まり、現代のお歳暮文化へとつながっています。
現代では、仕事の上司や取引先、親族、恩師、習い事の先生など、日頃お世話になっている方への感謝を表す贈答の機会として定着しています。お中元が「上半期のお礼」ならば、お歳暮は「一年を通してのお礼」という位置づけです。お中元よりもお歳暮の方が重要度が高いとされ、どちらか一方だけ贈る場合はお歳暮を優先するのが一般的です。
お歳暮の「のし」の基本マナー
のし紙の種類と選び方
お歳暮に使うのし紙は、紅白5本の蝶結び(花結び)が基本です。蝶結びは何度あっても良いお祝い事に使われるもので、毎年繰り返すお歳暮にふさわしい形式です。結び切り(一度結んだらほどけない形)はお見舞いや弔事用なので、お歳暮には使いません。水引の色は紅白が基本ですが、金銀のものは格が高すぎるため避けた方がよいでしょう。
表書きの書き方
のし紙の上段中央に「御歳暮」と書きます。「お歳暮」とひらがなを混ぜても問題ありません。下段中央には贈り主の名前をフルネームで記載します。連名の場合は、右側に目上の方の名前を書くのが基本です。夫婦連名の場合は、中央に夫のフルネームを書き、左側に妻の名前だけを並べて書きます。会社名を入れる場合は、名前の右上に小さく記載します。
内のしと外のしの使い分け
- 外のし:包装紙の外側にのし紙を掛ける方法。手渡しの場合はこちらが正式です。誰からの贈り物かひと目でわかるのがメリットです。
- 内のし:商品と包装紙の間にのし紙を挟む方法。宅配・郵送の場合は輸送中の傷み防止のためこちらが一般的です。控えめな印象を与えたい場合にも使われます。

お歳暮を贈る正しい時期
お歳暮を贈る時期は、一般的に12月初旬から12月20日頃までが適切です。12月13日は「正月事始めの日」とされ、この日からお歳暮を届けるのが伝統的なマナーです。ただし、近年は11月末から早めに手配する方も増えています。
地域による違いもあり、関東では12月初旬〜20日、関西では12月13日〜20日が一般的な時期です。全国共通で安全なのは12月10日〜20日の間に届くよう手配することです。
時期を過ぎてしまった場合は、松の内(関東は1月7日、関西は1月15日)までは「御年賀」、それ以降は「寒中御見舞」として贈りましょう。
お歳暮を贈る正しい方法
手渡しの場合
正式には相手のお宅や職場を訪問して直接手渡しするのがマナーです。手渡しの際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 手提げ袋に入れて持参し、相手の前で袋から取り出して渡す
- 「今年もお世話になりました」「ほんの気持ちですが」など感謝の言葉を添える
- 手提げ袋は持ち帰る(相手に渡すのは正式なマナーとしては適切でない)
- 玄関先で渡すのではなく、部屋に通されてから渡すのが正式
- 訪問時間は午前10時〜午後5時頃が適切(早朝や夜間は避ける)
郵送・宅配の場合
遠方の方には宅配便で送るのが一般的です。郵送の場合は、品物が届く前にお手紙やはがきで「お歳暮をお送りしました」と送り状を出すのが丁寧です。送り状には、日頃の感謝と品物を送った旨を簡潔に書きます。生鮮食品を贈る場合は、相手の在宅日を事前に確認してから手配しましょう。不在で受け取れず品質が劣化してしまうと、せっかくの気持ちが台無しになってしまいます。
お歳暮のお礼状の書き方
お歳暮を受け取ったら、できるだけ早くお礼状を出すのがマナーです。電話やメールでのお礼も最近では一般的ですが、目上の方やフォーマルな相手にはお礼状(手紙やはがき)が望ましいでしょう。
お礼状の基本構成
- 時候の挨拶:「師走の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」「年末ご多忙のところ恐れ入ります」など
- お歳暮へのお礼:「このたびは結構なお品をお贈りいただき、誠にありがとうございます」
- 品物の感想:「家族一同、大変喜んでおります」「さっそくいただきましたが、とても美味しゅうございました」
- 相手の健康・発展を祈る言葉:「寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください」
- 結びの挨拶:「略儀ながら書中にてお礼申し上げます」
お礼状は届いてから3日以内に送るのが理想的です。年末の忙しい時期ですが、後回しにすると相手に「届いていないのでは」と心配をかけてしまいます。はがきでも手紙でも構いませんが、手書きだとより気持ちが伝わります。

お歳暮のマナーでよくある疑問Q&A
Q. 喪中の方にお歳暮を贈ってもいい?
お歳暮はお祝いではなく感謝の気持ちを伝えるものなので、喪中であっても贈ること自体は問題ありません。ただし、四十九日が過ぎていない場合は時期をずらし、松の内(1月7日)以降に「寒中見舞い」として贈るのがよいでしょう。のし紙も、水引なしの白い無地のし紙を使う配慮があるとより丁寧です。自分が喪中の場合も、お歳暮を贈ることに問題はありません。
Q. お歳暮を断りたいときはどうする?
会社の方針や個人的な理由でお歳暮を受け取れない場合は、丁重にお断りの連絡を入れましょう。「お気持ちだけいただきます」と感謝を伝えた上で、今後は辞退したい旨を伝えるのがスマートです。届いた品物を開封せずに返送する方法もありますが、角が立つ可能性もあるため、事前にお断りの連絡をしておく方が穏便です。
Q. お歳暮をもらったらお返しは必要?
お歳暮は基本的にお返し不要の贈り物です。お礼状を出すことで十分です。ただし、相手からお歳暮をもらって自分は贈っていない場合は、来年からお歳暮を贈るか、同程度のお返しの品を用意するのが一般的です。
Q. 公務員へのお歳暮はNG?
公務員は「国家公務員倫理法」や自治体の条例により、利害関係者からの贈答品の受け取りが禁止されています。公務員の方にお歳暮を贈ることは避けましょう。公立学校の先生への贈り物も同様に注意が必要です。私立学校の場合は学校の方針によりますが、確認してから贈るのが無難です。
Q. お歳暮は何年くらい続けるもの?
お歳暮は一度始めたら毎年続けるのが基本です。「今年だけ特別にお世話になった」という場合は、お歳暮ではなく「お礼」として一度だけ贈る方がよいでしょう。仲人へのお歳暮は結婚後3年程度が目安とされていますが、継続するかどうかは関係性に応じて判断してください。
Q. お歳暮を直接持参するときの正しい渡し方は?
正式には部屋に通されてから渡します。風呂敷に包んで持参するのが伝統的なマナーですが、現代では手提げ袋でも問題ありません。品物を相手に向けて差し出し、「今年も大変お世話になりました」と感謝の言葉を添えて渡しましょう。

Q. メールやLINEでのお礼は失礼?
親しい友人や同僚であれば、メールやLINEでのお礼でも問題ありません。ただし、目上の方や取引先に対しては、手紙やはがきでのお礼状が望ましいです。メールでお礼を伝えた上で、改めて書面でお礼状を出すと、より丁寧な印象を与えます。最近はビジネスシーンでもメールでのお礼が一般化していますが、手書きのお礼状には特別な温かみがあり、受け取った方に良い印象を残します。
Q. お歳暮を複数の人から同時にもらった場合のお礼状は?
複数の方からお歳暮をいただいた場合でも、一人ひとりに個別のお礼状を書くのがマナーです。定型文のコピーではなく、いただいた品物に触れた一文を入れると、心のこもったお礼状になります。例えば「いただいた○○は家族みんなで美味しくいただきました」など、具体的な感想を添えると喜ばれます。
Q. お歳暮の送り状に書くべき内容は?
宅配でお歳暮を贈る際、品物が届く前に出す送り状には以下の内容を含めましょう。日頃の感謝の言葉、お歳暮を送った旨、届く予定日(わかれば)、相手の健康を気遣う言葉です。長い手紙でなくても、はがき1枚程度の簡潔な内容で構いません。
まとめ
お歳暮のマナーは、相手への敬意と感謝を形にするための作法です。以下のポイントを押さえておけば安心です。
- のし紙:紅白5本の蝶結び。手渡しは外のし、郵送は内のし
- 時期:12月初旬〜20日頃。過ぎた場合は「御年賀」「寒中御見舞」に変更
- 贈り方:手渡しが正式。郵送の場合は送り状を事前に出す
- お礼状:届いたら3日以内に。手書きが丁寧
- 喪中:贈っても問題なし。ただし四十九日前は時期をずらす
- 公務員への贈答:法律で制限されているため避ける
マナーを守りつつ、心のこもったお歳暮で大切な方への感謝を伝えましょう。
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