一周忌や三回忌などの法事を執り行う際、参列者への「お返し(引き出物)」をどうするか悩む方は多い。法事の引き出物は葬儀の香典返しとはマナーが異なる部分もあり、品物選びや金額の目安を知っておくことが大切だ。
この記事では、法事のお返しにおすすめの品物から、金額相場・のしの書き方・贈り方のマナーまで、幅広く解説していく。法事の準備をスムーズに進めるための参考にしてほしい。

法事のお返し(引き出物)とは
法事のお返しの意味
法事のお返し(引き出物)とは、一周忌・三回忌・七回忌などの法要に参列し、お供え物や香典(御仏前)を持参してくださった方へ贈る返礼品のこと。法要の当日にお渡しするのが一般的で、「本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございました」という感謝の気持ちを込めた品物だ。
法事のお返しと香典返しの違い
| 法事のお返し(引き出物) | 香典返し | |
|---|---|---|
| タイミング | 法要当日に手渡し | 忌明け後に送付 |
| 金額の目安 | 2,000円〜5,000円 | 香典の半額 |
| のしの表書き | 「志」「粗供養」 | 「志」「満中陰志」 |
| 対象 | 法事の参列者 | 葬儀での香典をくれた方 |
法事のお返しは法要当日に手渡しが基本。香典返しとは贈るタイミングや金額の考え方が異なるので注意しよう。
法事のお返しにおすすめの品物
法事の引き出物も、香典返しと同様に「消えてなくなるもの」を選ぶのが基本だ。不祝儀があとに残らないようにという意味が込められている。
お菓子・スイーツ
法事の引き出物として最も人気が高いのがお菓子だ。
- 和菓子:羊羹、最中、おせんべいなど。年配の方にも喜ばれ、法事の雰囲気にも合う
- 洋菓子:フィナンシェ、マドレーヌ、バームクーヘンなど。個包装で日持ちするものを選ぼう
- ゼリー・水菓子:果物のゼリーと水羊羹の詰め合わせは定番の人気商品だ
お茶・コーヒー
- 日本茶:緑茶や煎茶は法事の引き出物の王道。高級茶葉のギフトセットが好まれる
- コーヒー:ドリップコーヒーやスティックコーヒーのセット
- 紅茶:ティーバッグの詰め合わせ

海苔・乾物・食品
- 海苔:味付け海苔や焼き海苔のギフトセット
- そうめん・うどん:日持ちする乾麺は実用的で喜ばれる
- 佃煮・昆布:和の食材ギフトとして定番
- 調味料セット:しょうゆやだしの素のセットも人気
洗剤・日用品
- 衣料用洗剤:毎日使う実用品として重宝される
- 食器用洗剤:おしゃれなブランドのものが人気
- ハンドソープ・石鹸:「不幸を洗い流す」意味もある
タオル
今治タオルなどのブランドタオルは、法事の引き出物としても根強い人気がある。「悲しみを拭い去る」という意味合いもあり、弔事のお返しにふさわしい。
カタログギフト
品物選びに迷ったときの強い味方がカタログギフトだ。相手が好きな商品を選べるため満足度が高いのが特徴で、持ち帰りも軽いため法事の引き出物としても便利だ。
法事の引き出物は持ち帰ることが前提。重いものやかさばるものは避け、コンパクトで軽い品物を選ぶのがマナーだ。
法事のお返しで避けるべき品物
- 肉・魚:殺生を連想させるため仏事には不向き
- お酒:慶事のイメージが強いため避ける
- 鰹節:慶事の縁起物のため法事には不適切
- 派手な包装の品物:弔事にそぐわない
- 重いもの・かさばるもの:参列者の持ち帰りの負担になる
法事のお返しの金額相場
基本の相場は2,000円〜5,000円
法事のお返し(引き出物)の金額は、2,000円〜5,000円が一般的な相場だ。法事の規模や地域によっても異なるが、この範囲で品物を選べば問題ない。
いただいたお供えとの関係
法事ではお供え物や御仏前として5,000円〜30,000円程度をいただくことが多い。引き出物はその金額に関わらず一律で用意するのが一般的だが、高額のお供えをいただいた方には後日改めてお返しを贈ることもある。
会食がある場合の考え方
法要後に会食(お斎)がある場合は、食事が「おもてなし」の一部となるため、引き出物は食事代とは別に2,000円〜5,000円程度の品物を用意する。会食がない場合は、引き出物のみで3,000円〜5,000円程度が目安だ。

法事のお返しののし(掛け紙)
のしの書き方
- 水引:黒白または黄白の結び切り(地域によって異なる)
- 表書き:「志」(全国共通)/「粗供養」(主に西日本)/「茶の子」(中国地方)
- 名前:施主の苗字(または「〇〇家」)
内のし?外のし?
法事の引き出物は、法要の席で手渡すことが多いため「外のし」が一般的だ。ただし、配送する場合は「内のし」にすることもある。
法事のお返しを贈るタイミング
基本は法要当日
法事のお返し(引き出物)は、法要当日にお帰りの際に手渡すのが一般的だ。会食の席で各自の席にあらかじめ置いておくか、お帰りの際に手渡す方法がある。
参列できなかった方へのお返し
法要に参列できなかったがお供えを送ってくださった方には、法要後1〜2週間以内に引き出物を郵送する。お礼の手紙を添えて、法要が無事に終わったことを報告しよう。
法事の種類別のポイント
一周忌のお返し
一周忌は故人が亡くなって1年目の法要で、比較的多くの方が参列する。引き出物は3,000円〜5,000円程度が目安だ。
三回忌以降のお返し
三回忌以降は参列者が少なくなる傾向がある。引き出物は2,000円〜3,000円程度で、親族だけの場合はカジュアルな品物でも問題ない。
Q&Aコーナー|法事のお返しの疑問
Q. 法事の引き出物は全員に同じ品物でいい?
A. 基本的には全員に同じ品物を用意する。ただし、高額のお供えをいただいた方には後日改めてお返しを贈ることもある。
Q. 法事の引き出物を2品にするのはOK?
A. 地域によっては引き出物を2品(例:お菓子+お茶)にする慣習がある。2品にする場合は合計で3,000円〜5,000円程度にまとめよう。
Q. 法事をしない場合、お供えをいただいたらどうする?
A. 法事を行わずにお供えだけいただいた場合は、いただいた金額の半額〜3分の1程度の品物を「志」ののしを付けてお返しする。
法事のお返しについて詳しくは、entowa by PIARYの法事お返しガイドや三越伊勢丹法人ギフトガイドも参考にしてほしい。

法事のお返しの失敗しない準備手順
ステップ1:参列者の人数を把握する
法事の1〜2週間前までに参列者の人数を確定させよう。引き出物は人数分+予備を数個用意しておくと安心だ。夫婦で参列される場合は、通常1つの引き出物で構わない。
ステップ2:品物を選ぶ
参列者の年齢層や好みを考慮して品物を選ぶ。年配の方が多い場合は和菓子やお茶、若い方が多い場合はカタログギフトやスイーツがおすすめだ。
ステップ3:のしの手配
品物が決まったら、のし紙の手配を行う。表書き、名前、水引の種類を店舗に指定して、間違いがないか確認しよう。
ステップ4:当日の配置
法要当日は、会食の席に事前に引き出物を配置しておくか、お帰りの際に手渡す準備をしておく。手渡す場合は「本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございました」と一言添えて渡そう。

法事のお返し|よくあるシーン別の対応
遠方から来てくださった方への配慮
遠方から参列してくださった方には、交通費や宿泊費の負担も考慮して、引き出物に加えて「お車代」を包むことがある。お車代の目安は交通費の半額〜全額程度だ。
お供え物を郵送で送っていただいた場合
法事に参列できず、お供え物だけ送ってくださった方にも、引き出物を郵送してお返しする。お礼の手紙を添えて、法要が無事に終わったことを報告しよう。
お供え物が高額だった場合
引き出物の金額を超える高額のお供え(10,000円以上)をいただいた場合は、引き出物とは別に後日改めてお返しを贈ることもある。いただいた金額の3分の1〜半額程度の品物を「志」ののし紙を付けて贈ろう。
遠方の方や高額のお供えをいただいた方には、標準的な引き出物にプラスアルファの対応をすると、より丁寧な印象を与えられる。
法事の種類と引き出物の相場の違い
四十九日法要の引き出物
四十九日法要は忌明けの法要であり、比較的多くの方が参列する。引き出物は3,000円〜5,000円が目安で、香典返しと兼ねるケースもある。四十九日法要では会食(お斎)を行うことが多いため、引き出物と食事の合計で参列者へのおもてなしとする。
一周忌法要の引き出物
一周忌は故人の死後1年目の法要で、親族や親しい友人が参列する。引き出物は3,000円〜5,000円が目安だ。一周忌は「喪が明ける」節目とされ、比較的多くの方が集まる傾向がある。
三回忌以降の引き出物
三回忌(3年目)以降は、参列者が親族中心に絞られていくことが多い。引き出物は2,000円〜3,000円程度で、カジュアルな品物でも問題ない。七回忌、十三回忌と年を重ねるごとに、法要自体も簡素化される傾向がある。

法事のお返しに関する地域別の慣習
関東地方
関東地方では引き出物を1品にするのが一般的だ。のしの表書きは「志」が多い。引き出物とは別に会食(お斎)でおもてなしする。
関西地方
関西地方では引き出物を2品にする慣習がある地域もある。のしの表書きは「粗供養」が使われることが多い。水引は黄白の結び切りが主流だ。
中国・四国地方
中国地方では「茶の子」という表書きが使われる地域がある。法事の引き出物としてお茶やお菓子を中心に選ぶ傾向がある。
地域によって慣習が異なるため、親族や地元の葬儀社に確認するのがベスト。転居した場合は、新しい土地の慣習に合わせるか、故人の出身地の慣習に合わせるか、家族で相談しよう。
法事の会食(お斎)がある場合の引き出物
法事後に会食(お斎)がある場合は、引き出物と食事の両方で参列者へのおもてなしとなる。会食がある場合の引き出物の考え方を整理しよう。
会食+引き出物の予算配分
- 会食の費用:一人あたり3,000円〜10,000円程度(会場や料理によって異なる)
- 引き出物の費用:2,000円〜5,000円程度
- 合計:一人あたり5,000円〜15,000円程度が目安
会食がない場合
会食を行わない場合は、引き出物のグレードを少し上げるか、引き出物に加えて折り詰め(お弁当)と小瓶のお酒を持ち帰りいただくのが一般的だ。これにより、会食の代わりとしてのおもてなしとなる。
まとめ
法事のお返し(引き出物)は、2,000円〜5,000円の「消えもの」を法要当日に手渡すのが基本。お菓子・お茶・海苔・洗剤・タオル・カタログギフトが定番で、持ち帰りやすい軽い品物を選ぶのがマナーだ。
のしは「志」または「粗供養」の表書きに黒白結び切りの水引を使用する。法事は故人を偲ぶ大切な機会であり、参列者への感謝の気持ちを込めた丁寧な引き出物選びを心がけよう。


